園芸鳥 耕太郎

プランターの選び方|丸型より「四角+スリット入り」がおすすめな理由

家庭菜園のプランターは、底が丸い鉢より四角(長方形)でスリットの入ったタイプがおすすめです。その理由と、野菜別のサイズ・深さの目安、スリット鉢の注意点をまとめました。

結論: まず「深さと容量」、そのうえで「四角+スリット入り」

プランター選びでいちばん大事なのは、形よりも「育てたい野菜に足りる深さと土の量があるか」です。ここを外すと、水切れや肥料切れを起こしやすくなり、どんな形でも育ちが悪くなります。

そのうえで、同じ置き場所・同じ予算なら、底が丸い鉢よりも、四角(長方形)で側面や底に細長い切れ込み(スリット)が入ったタイプをおすすめします。理由は大きく2つで、「四角」は限られた置き場所を無駄なく使えること、「スリット」は根が元気に育ちやすく、水はけの失敗が減ることです。

「四角」がおすすめな理由

ベランダの幅を無駄なく使える

ベランダや玄関先の置き場所は、たいてい「壁沿いの細長いスペース」です。丸い鉢を並べると鉢と鉢のあいだに三角形のすき間ができますが、長方形のプランターは壁にぴたりと寄せて、すき間なく並べられます。同じ幅に置いたとき、丸い鉢より長方形のほうが土の量を多く確保できるので、限られた場所で育てる家庭菜園ほど差が出ます。

複数の株を等間隔で植えやすい

コマツナやラディッシュなど葉物・小さな根菜は、横に広がるように育つので、細長い形のほうが向いています。1つのプランターに2〜3株を等間隔で植える、列にして種をまく、といった使い方も長方形のほうがしやすく、間引きや収穫のときにも手が入りやすいです。

安定して倒れにくい

支柱を立てるミニトマトやキュウリは、風で鉢ごと倒れることがあります。底面が広い長方形のプランターは重心が低く、同じ土の量なら丸い鉢より倒れにくいです。ベランダの風が強い場所では、この差は意外と大きく感じられます。

丸い鉢が向いているケースもあります。ミニトマトを1株だけじっくり育てたいときや、日当たりを追って鉢を動かしたいときは、深型の丸鉢のほうが持ち運びやすく扱いやすいです。「置き場所が細長い」「複数株を育てたい」なら長方形、「1株を動かしながら育てる」なら丸型、と考えると迷いにくくなります。

「スリット入り」がおすすめな理由

根がぐるぐる巻きにならない

ふつうの鉢では、伸びた根が壁にぶつかると、そのまま壁に沿ってぐるぐると回りはじめます。こうなると根は鉢の外側ばかりに集まり、真ん中の土をうまく使えなくなります。

スリット入りの鉢では、壁に沿って伸びた根がスリットのところで空気に触れて、先端の伸びが止まります。そのかわりに、根の途中から新しい細かい根がたくさん出て、鉢の内側全体に根が広がります。スリット鉢のメーカーも「鉢の中の土のほとんどを根が使えるようになる」と説明しているとおり、土をむだなく使えるぶん、同じ大きさの鉢でも株が元気に育ちやすくなります。

水はけがよく、根ぐされしにくい

側面と底のスリットから余分な水がすぐに抜けるので、水をやりすぎたときにも土の中に水がたまりにくく、根ぐされの失敗が減ります。はじめての家庭菜園でいちばん多い失敗は「水のやりすぎ」なので、水はけのよさは初心者ほどありがたい特徴です。

鉢底石がいらない

スリット鉢は、鉢底石を入れずに培養土だけを入れて使うのが基本です。鉢底石を入れるとスリットの働きが弱まってしまううえ、そもそも水はけがよいので入れる必要がなく、メーカーも入れないように案内しています。鉢底石や鉢底ネットを買わずにすむので、そのぶん費用も手間も減ります。

サイズの目安: 深さと容量の決め方

鉢の大きさは「号」で表されることが多く、1号が約3cm、号数×3cmが鉢の直径です。たとえば10号なら直径約30cmになります。長方形のプランターは「幅65cm前後の標準型」「同じ幅で深さのある深型」のように、幅と深さで区別されることが多いです。

育てる野菜ごとの目安は次のとおりです。「大は小を兼ねる」が基本で、小さいプランターほど土がすぐ乾き、肥料も早く切れてしまうので、迷ったら大きめ・深めを選ぶと安心です。

  • コマツナ・ラディッシュ・ミズナなどの葉物深さ15cm程度の浅型でも育つ
  • バジル・シソ・パセリなどのハーブ10号前後の鉢、または標準型に2〜3株
  • ミニトマト・ナス・ピーマンなど実のなる野菜深さ20cm以上の深型、支柱を立てられる深さ
  • ダイコン・ニンジンなど根が下に伸びる野菜深さのある深型(根の長さに合わせる)

ミニトマトのように大きく育つ野菜は、1株に深型のプランターを1つあてるのがいちばん失敗が少ないです。標準型に何株も詰め込むと、夏場に土が乾くのが早くなり、水切れで実が割れたり花が落ちたりしやすくなります。「1株1鉢、深型」を基本にして、余裕があれば株を増やす、という順番がおすすめです。

素材は「軽いプラスチック」が扱いやすい

プランターの素材は、プラスチック・素焼き・木などがあります。家庭菜園、とくにベランダで育てるなら、軽くて割れにくいプラスチック製がいちばん扱いやすいです。土を入れた深型プランターはかなりの重さになるので、素焼きや陶器の重さが加わると、移動も掃除も大変になります。

素焼きの鉢は見た目がよく、余分な湿気を逃がしてくれる一方で、土が乾きやすく重いのが難点です。スリット入りの角型プランターはほとんどがプラスチック製なので、「四角+スリット+軽い」の3つを一度に満たせます。マンションのベランダでは、避難経路をふさがないことと、重いものを一か所に集めすぎないことにも気をつけてください。

スリット鉢の注意点

スリット鉢は水はけがよいぶん、ふつうの鉢より土が乾きやすいです。日当たりや風通しのよい場所では、夏場は朝夕の2回、土の表面の様子を見て水やりが必要になることもあります。水やりの考え方は水やりの基本もあわせて確認してみてください。

そのほか、スリット鉢を使うときに知っておきたい点が4つあります。

  1. 地面や庭の土の上に直接置かない。スリットから根が出て地面に根を下ろしてしまうので、すのこやブロック、プランタースタンドで少し浮かせます。浮かせることで底からの風通しもよくなります。
  2. 受け皿に水をためない。底からもよく水が抜けるので、受け皿に水がたまりやすいです。たまった水はそのまま捨てるようにします。
  3. 培養土はそのまま使う。土が細かすぎるとスリットからこぼれることがあります。市販の野菜用培養土なら、ほとんどこぼれずに使えます。
  4. 真夏の直射日光に注意する。プラスチックの鉢は日ざしで内部の温度が上がりやすいので、鉢の側面に強い日が当たる場所では、鉢カバーや他の鉢の影を使って側面を守ると安心です。

選び方のチェックリスト

  1. 育てたい野菜を決める。深さと容量は野菜で決まるので、まず「何を育てるか」からはじめます。
  2. 置き場所の幅と奥行きを測る。壁沿いに何cm使えるかがわかると、長方形プランターの幅が決まります。
  3. 深さを決める。葉物なら浅型でもよく、実のなる野菜や根菜なら深型を選びます。迷ったら深型です。
  4. 四角(長方形)でスリット入りのものを選ぶ。鉢底石はいらないので、培養土と一緒に買えば準備は完了です。
  5. 軽いプラスチック製を選ぶ。ベランダでの移動と掃除が楽になります。

よくある質問

Q. スリット鉢にも鉢底石を入れたほうがいいですか。
A. 入れなくて大丈夫です。メーカーも入れないように案内しています。スリットの働きを妨げないよう、培養土だけを入れて使ってください。

Q. 100円ショップのスリット鉢でも育てられますか。
A. 小さな鉢(直径10〜15cm程度)が中心なので、ハーブの苗や芽出しには使えますが、ミニトマトなど大きく育つ野菜には土の量が足りません。実のなる野菜には深型の角型プランターを別に用意すると安心です。

Q. いま使っている丸い鉢は買い替えたほうがいいですか。
A. 買い替える必要はありません。深さと容量が足りていれば、丸い鉢でもきちんと育ちます。次に買い足すときに、置き場所と育てたい野菜に合わせて長方形のスリット入りを選ぶ、で十分です。

よくある失敗

  • 見た目で小さめの鉢を選んでしまった。土の量が少ないと夏場にすぐ乾いて、水切れや肥料切れを起こしやすくなります。迷ったら大きめ・深めを選びましょう。
  • 標準型のプランターにミニトマトを何株も植えてしまった。1株1鉢の深型が基本です。
  • スリット鉢に鉢底石をぎっしり入れてしまった。スリットの働きが弱まるので、培養土だけを入れます。
  • スリット鉢を庭の土の上に直接置いてしまった。スリットから根が地面に伸びるので、すのこやスタンドで浮かせます。
  • 受け皿に水をためたままにしてしまった。根ぐされのもとになるので、たまった水は捨てます。

プランターが決まったら

置き場所とプランターが決まれば、次は育てる野菜と植える時期です。日当たりに不安がある場合は日当たりのチェック方法を、育てる品種を選ぶなら品種ガイドを参考にしてください。使い終わった土は手を加えれば再利用できるので、プランターは長く使い続けられます。

サイズの目安は一般的なものです。実際の深さや容量は、苗の袋や種袋、培養土のパッケージに書かれている目安もあわせて確認してください。

この記事の道具箱

スリット鉢 角型 深型
プランター スタンド

肥料や薬剤を使うときは、量をお使いの製品のパッケージ表示にあわせてください。

耕太郎(シジュウカラのキャラクター)

プランターが決まったら、次は育てる野菜を選ぼう。植える時期はぼくが知らせるよ

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